梅雨のおもな食中毒菌やO-157。もし、感染してしまったら、どうする?

梅雨のおもな食中毒菌やO-157。もし、感染してしまったら、どうする?

 「なんだか、気持ち悪くて吐いちゃった…そういえばおかずに使った肉がヘンな匂いだったなぁ…」なんて経験はありませんか? じめじめとして気温も上がってくる梅雨の季節は食中毒のシーズンでもあります。食べ物が原因で、おなかが痛くなったり、気持ち悪くなったり、吐いたり、下痢をしたり…いわゆる「食中毒」には、3種類あります。1つめは、細菌が原因の細菌性食中毒。2つめはウイルスが原因となるウイルス性食中毒。3つめは、「フグ中毒」など食べ物そのものが持っている自然毒の食中毒です。

もし、食中毒になってしまったら。。。

 6月頃から多くなるのは細菌性食中毒です。管理の悪さからもともと食べ物に付着していた細菌が増殖したり、調理者から食べ物に移ったりすることなどが原因です。鶏肉などから感染するカンピロバクター、お弁当やおにぎりが原因になる事が多いブドウ球菌、手洗い等の不備が原因になりやすい大腸菌などが原因細菌として多いです。

 もし、食中毒になってしまったら、嘔吐や下痢の為に脱水になることがあるのでスポーツドリンク等を少しづつとるようにしましょう。手元に下痢止めや抗生物質があったとしても、自分の判断では飲まないようにして、病院に行きましょう。(治療は早い方がよいのですが、腸管出血性大腸菌のO-157等では医師の指導のもと抗生物質を適切に使わないとかえって病状が重くなってしまう事があります)

 

食中毒対策として心がけること

 ですが、出来れば食中毒にかからない様にするのが一番ですよね。その為の対策としては、衛生管理が特に大切になります。食中毒の発生現場のトップは飲食店(54%:厚生労働省調べ)ですが、次に多いのは、皆さんのご自宅(12%)なのです。お家で食中毒対策はとても大事なのです。



 対策の要点は、菌を持ちこまない事、広げない事、増殖させないことです。外から帰ってきた時、手にどんな細菌がついているかわかりません。もし、その手で食事をすると細菌も一緒に食べることになってしまいます。手洗いを励行しましょう。広げないという意味では、大腸菌など「糞口感染」の細菌も多いので、トイレから出ての手洗いも大事です。手を洗った後にアルコールスプレー等を使い、消毒するのも効果的でしょう。アルコールスプレーは除菌効果が高く、手洗いで落としきれなかった細菌がいても、も落とすことが出来ます。直ぐに乾くので手が濡れたままになることもないので安心です。



 厳密を期すなら、一般業者の「除菌消毒」などを利用してお部屋やキッチン周りを消毒しておくと安心でしょう。もし万一、家族に食中毒があった場合には、事後になりますが、積極的に「除菌消毒サービス」も検討しましょう。

 

 

食品管理と調理のポイント

 細菌を増殖させないという点では、食品管理が大事です。梅雨の季節はできるだけ当日に購入した物を利用するが一番です。買い置きをするなら、買ったものを放置せずに直ぐに冷蔵庫に入れたり、消費期限を過ぎた食べ物は食べないようにしたりする事が大切です。


また食品を保存する時にも気を使う必要があります。冷蔵庫の中に食品を詰め込みすぎてしまうと冷蔵庫内の温度が上昇することになり、細菌が発生する原因となる為、注意が必要です。庫内はある程度の空間が空いている位がちょうど良い温度を保つことが出来るようになります。すぐに使わない食材は冷凍庫に入れましょう。梅雨時には冷凍庫を活用するのがおすすめです。

 

 調理をする時もポイントがあります。キッチンが汚れたままの状態では細菌を繁殖させる事になりますので、きちんと清掃を行い、除菌する事が大切です。特に手を拭くタオルなどは清潔に保つ必要があります。
調理を行う時には加熱をすることになりますが、加熱が不十分な場合には細菌が食品に残ることになり、食中毒になる危険性が出てきます。加熱をする時には中まで火を通すようにして下さい。生焼けの状態は危険ですので、きちんと中まで火が通っているか確認することで食中毒を防ぐ事ができます。

 


 作った食事は出来るだけ食べ切りましょう。残った場合は、冷蔵庫に素早く保管するようにして下さい。あまり長期間保管すると細菌が発生する事になりますので、出来るだけ早めに食べるのがポイントです。 

                  〔記事監修 医師 医学博士 佐賀信之 (社)日本環境感染学会正会員〕